魔法科高校の劣等生 追憶編

魔法が技術として確立され、約一世紀が過ぎた二〇九五年四月。魔法師を育成する国立魔法大学付属第一高校、通称“魔法科高校”に二人の兄妹が入学した。一人は魔法師として致命的な欠陥を抱える劣等生の兄・達也。もう一人は完全無欠の魔法師として讃えられる優等生の妹・深雪。時に恋人同士と間違われるほど仲睦まじい二人だが、ほんの数年前までは、まるで女主人と使用人のように冷え切った関係だった。その関係が変わった背景には、ある出来事があった。三年前の沖縄。深雪にとって忘れられない出来事によって、二人の心と、その運命が大きく変わっていく。