天国大魔境

2024年、世界は崩壊した―未曾有の大災害から15年。廃墟となった日本の地には“人食い(ヒルコ)”と呼ばれる異形の化け物が巣食い、人々は細々と身を寄せ合って生きていた。東京・中野で便利屋を営むキルコは、とある女性から謎の依頼を受ける。『この子を“天国”に連れて行って―』そう言い残し息を引き取った彼女に託された少年、マル。彼は「“天国”には俺と同じ顔をしたやつがいるらしい」と言うがそれ以上のことは何も知らず、2人は『天国探し』の旅に出ることに。一方、壁に囲まれた美しい世界で暮らす子供たち。学園長、優しい先生達…。そこには日々豊かで穏やかな時間が流れていた。そんなある日、トキオは “外の外に行きたいですか?”という謎のメッセージを受け取る。「ここより外の世界があるの?」初めて芽生えた疑問に戸惑うトキオはその出来事をきっかけとして、当たり前の日常に違和感を抱き始める――。