時は1874年。侍の時代の終焉を意味した大政奉還から7年。新政府(明治政府)は、欧米列強国に追いつくべく富国強兵策を推し進めていた。元会津藩士の折笠静馬は、刀を捨て髷を落とし東京で人力車の車夫をしているが、戊辰戦争の時に官軍を震撼させた剣の腕前は今も健在だ。そんな彼は戊辰戦争で行方不明となった許嫁の鹿又澄江を捜していた。唯一の手がかりは、澄江と静馬がいつも作っていた折紙なのだが……。そんな静馬はひょんなことで政府高官・岩倉具視の暗殺計画を阻止した手腕を買われて、新設されたポリス(警視庁)の一員に。同じ頃、東京で縄張り争いを繰り広げるヤクザ・守屋組に凄腕の隻眼の剣士・修羅神狂四郎が、ある目的を持って客人となった。守屋組は豪商と組んでアヘン密売を行っており、その利益を「武士の世を再び」と謀反を企てる黒幕へと上納していた。岩倉暗殺も、その人物が裏で糸を引いていたのだ。政府転覆の陰謀を追うことになった静馬と、守屋組で着々と地位を固めていく狂四郎。真逆の立場のこの二人のドラマが、運命的に交錯してゆく。その中で静馬に、悲しくも皮肉な出会いと別れが待っているとは知るよしもなかった。